ArtNote/美術運動/新古典主義
MOVEMENT

新古典主義

Neoclassicism
18–19世紀 ヨーロッパ 収録作家 24人

一七四八年に発掘が本格化したポンペイの遺跡から、色鮮やかな壁画や均整のとれた彫刻が次々と姿を現した。それまで人々が想像していた古代とは違う、生々しい実物の古代がそこにあった。この衝撃は美術家たちの手元にすぐ届き、曲線的で装飾過多なロココ様式への反発とも結びついて、古代ギリシア・ローマの秩序と理性を手本とする新しい絵画・彫刻の潮流を生み出した。

新古典主義の画家たちは、輪郭線をくっきりと際立たせ、筆の跡を目立たせず、劇場の一場面のように人物を配置する構図を好んだ。感情を誇張せず、市民としての義務や自己犠牲といった主題を、冷静で理知的な形式に収めることを目指した。これは啓蒙思想が説く理性と徳の重視、そしてフランス革命前後の緊張した政治状況とも響き合っていた。アントニオ・カノーヴァの大理石彫刻に見られる滑らかな肌の表現と静謐な佇まいは、古代彫刻を単に真似るのではなく、理想化された人体美として蘇らせた好例である。

肖像画の分野では、エリザベート・ヴィジェ・ルブランやアデライード・ラビール=ギアールのような女性画家が王侯貴族や自らの姿を、端正な構成と冷静な観察眼で描いた。アンゲリカ・カウフマンは古代の主題を扱いながら、当時女性には難しいとされた歴史画の分野で高い評価を得た。アントワーヌ=ジャン・グロやアンヌ=ルイ・ジロデは師の様式を受け継ぎつつ、劇的な明暗やロマン主義的な感情表現へと踏み出し、次の時代への橋渡し役となった。

新古典主義が確立した「均衡のとれた構図」「理想化された人体」という規範は、その後の美術教育の基礎として長く生き続けた。同時にそれへの反発として、感情や個性を重んじるロマン主義が育っていく。作品を見るときは、静かに整えられた画面の奥に、革命前夜の緊張や古代への熱狂といった当時の空気が潜んでいることを思い出してほしい。

この運動の作家

ジャック=ルイ・ダヴィッド
1748–1825
ジャック=ルイ・ダヴィッド
1748–1825
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
1780–1867
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル
1780–1867
ジャン=レオン・ジェローム
1824–1904
ジャン=レオン・ジェローム
1824–1904
エリザベート・ヴィジェ・ルブラン
1755–1842
アントワーヌ=ジャン・グロ
1771–1835
アントワーヌ=ジャン・グロ
1771–1835
アレクサンドル・カバネル
1823–1889
アレクサンドル・カバネル
1823–1889
アリスティード・マイヨール
1861–1944
アンジェリカ・カウフマン
1741–1807
アントニオ・カノーヴァ
1757–1822
アントン・ラファエル・メングス
1728–1779
アンヌ=ルイ・ジロデ
1767–1824
アンジェリカ・カウフマン
1741–1807
アリスティード・マイヨール
1861–1944
アデライード・ラビール=ギアール
1749–1803
ベルテル・トルバルセン
1770–1844
ベルテル・トルバルセン
1770–1844
ジャン=ポール・ローランス
1838–1921
ジョン・ウィリアム・ゴドワード
1861–1922
ピエール=ポール・プリュドン
1758–1823
ピエール=ポール・プリュドン
1758–1823
ジョン・ウィリアム・ゴドワード
1861–1922
アンゲリカ・カウフマン
1741–1807
ポンペオ・バトーニ
1708–1787
アンゲリカ・カウフマン
1741–1807
アンナ・ドリア・ヴァレイエル
1721–1782
コンスタンス・メイヤー
1775–1821
ジャン・アントワーヌ・ウードン
1741–1828
ジョサイア・ウェッジウッド
1730–1795
フランソワ・ジェラール
1770–1837
マリー=ガブリエル・カペ
1761–1818
アンナ・ドリア・ヴァレイエル
1721–1782
フランソワ・ジェラール
1770–1837
マリー=ガブリエル・カペ
1761–1818
コンスタンス・メイヤー
1775–1821

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開催中2026年度 II 「言葉を観る、美術を読む」
徳島県立近代美術館(〒770-8070 徳島県徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園内) ・ 2026.07.11 – 2026.09.30
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この解説は ArtNote 編集部が執筆しています。 誤りを報告する