ArtNote/美術運動/キュビスム
MOVEMENT

キュビスム

Cubism
1907–1920s フランス 収録作家 30人

キュビスムは、一九〇七年ごろのパリで始まった絵画の実験である。ひとつの対象を単一の視点から描くのをやめ、複数の角度から見た面を同じ画面に併置した。ルネサンス以来、西洋絵画の前提だった「一点から見た空間」を正面から手放した点で、近代美術のなかでも特に断絶が大きい。名称そのものは、ブラックの風景画を「小さな立方体の寄せ集め」と評した批評家の言葉に由来する。当初は揶揄だったものが、そのまま運動の名として定着した。

出発点にはセザンヌの絵画がある。自然を円筒や球として捉えようとした彼の探究が、対象を面の集合として組み直す発想につながった。アフリカやオセアニアの彫刻がパリで注目されたことも、人体を写実から解放する後押しになっている。ピカソとブラックはほぼ共同で作業を進め、一時期は互いの作品の区別が難しいほど接近した。少し遅れてフアン・グリスが加わり、より整理された構成でこの方法を展開している。

展開は二段階で語られることが多い。初期は対象を細かな面へ解体し、色数を抑えて画面を組み立てる。分析的キュビスムと呼ばれるこの段階では、画面はしばしば茶や灰の単色に近づき、何が描かれているのかは容易には読み取れない。続く総合的キュビスムの段階では、新聞紙や壁紙を貼り込むコラージュが導入され、絵具以外の物質が絵画に入ってきた。この「画面に現実の断片を貼る」という発明は、以後の美術に広く波及していく。

ピカソとブラックが画商を通じて限られた場で発表していた一方、公募展に出品する画家たちがこの方法を取り上げ、解説書を著したことで、キュビスムは短期間で広い範囲に知られるようになった。運動が理論を伴って伝播した早い例でもある。キュビスムは短期間で終わったが、その影響は長い。構成主義や未来派、抽象絵画への道はここを通っており、建築やデザインにも及んだ。作品を見るときは、何が描かれているかを当てようとするより、ひとつの物の別々の面が同時に見えていることを確かめるとよい。ぐるりと回り込んで見た記憶を一枚に畳み込む、という理解のしかたが、この絵画にはよく合う。

この運動の作家

パブロ・ピカソ
1881–1973
フェルナン・レジェ
1881–1955
ジョルジュ・ブラック
1882–1963
フアン・グリス
1887–1927
ロベール・ドローネー
1885–1941
ジャック・リプシッツ
1891–1973
フランティシェク・クプカ
1871–1957
ジャック・リプシッツ
1891–1973
アレクサンダー・アーキペンコ
1887–1964
アルベール・グレーズ
1881–1953
アルベール・グレーズ
1881–1953
萬鉄五郎
1885–1927
オシップ・ザッキン
1890–1967
アンリ・ローランス
1885–1954
ソニア・ドローネー
1885–1979
ジャック・ヴィヨン
1875–1963
ジャン・メッツァンジェ
1883–1956
ジャン・メッツァンジェ
1883–1956
ジャック・ヴィヨン
1875–1963
レイモン・デュシャン=ヴィヨン
1876–1918
ロジェ・ド・ラ・フレネ
1885–1925
アメデオ・オザンファン
1886–1966
アンドレ・ルノワール
1885–1962
アンリ・ル・フォコニエ
1881–1946
エミリオ・ペトロルッティ
1892–1971
シャルル・ジャンヌレ
1887–1965
ジョゼフ・チャーキ
1888–1971
ジョゼフ・チャイコフ
1888–1971
ナデジダ・ウダルツォワ
1885–1961
パトリック・ヘンリー・ブルース
1881–1936
マックス・ウェーバー
1881–1961
マリア・ブランシャール
1881–1932
ルイ・マルクーシ
1878–1941
ロート, アンドレ
1885–1962
ロート, アンドレ
1885–1962
ジョゼフ・チャーキ
1888–1971
マックス・ウェーバー
1881–1961

いま見られる展覧会

会期終了まで
32
開催中西洋と日本、同時代を生きた画家たち
北海道立釧路芸術館(〒085-0017 北海道釧路市幸町4-1-5) ・ 2026.07.11 – 2026.09.13
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この解説は ArtNote 編集部が執筆しています。 誤りを報告する