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MOVEMENT

バロック

Baroque
17世紀 ヨーロッパ 収録作家 42人

暗闇の中から、ひとの腕がぬっと突き出てくる。カラヴァッジョが切り開いたこの劇的な明暗の手法を、次の世代の画家たちは各地に持ち帰り、鍛え直した。アルテミジア・ジェンティレスキが描く旧約聖書の女性たちは、光を浴びて筋肉を張りつめさせ、画面の外の見る者にまで緊張を伝える。バロックとは、こうした強い感情の表出と、劇場のような空間の演出を特徴とする美術である。ルネサンスが理想化された静けさと均整を重んじたのに対し、バロックは瞬間の動き、汗や涙、布のひるがえりまでも描き込み、見る者の身体に直接訴えかけようとした。

この変化の背景には、宗教改革への対抗として、カトリック教会が信仰を視覚的に強く訴える美術を求めたという事情がある。教会や修道院は、天井いっぱいに広がる劇的な壁画や、殉教者の苦悶を生々しく描いた祭壇画を通じて、信者の心を揺さぶろうとした。同時に、王侯貴族の宮廷でも、権力を誇示するための壮麗な肖像画や装飾画が求められた。アンソニー・ファン・ダイクが描いた貴族たちの肖像は、優雅な身のこなしと絹の質感によって、見る者に威厳を印象づける。

画家たちの動きにも注目したい。アンニーバレ・カラッチとアゴスティーノ・カラッチの一族は、理想化された古典的な構図とカラヴァッジョ的な写実を折衷し、ローマで一大流派を築いた。オラツィオ・ジェンティレスキはその流れを汲みつつ独自の柔らかな光を追求し、娘アルテミジアに技術を伝えた。版画の分野でも、アブラハム・ボスやウェンツェスラウス・ホラーが、都市の風俗や職人の仕事場を細密に描き、絵画とは異なる記録性を担った。

バロックの絵は、遠くから眺めるだけでは真価がわからない。画面に顔を近づけ、光がどこから差し込み、影がどこに落ちているかを追ってみてほしい。その光の設計こそが、後のロココや写実主義、さらには写真的な視覚表現にまで受け継がれていく、この時代最大の発明である。

この運動の作家

レンブラント・ファン・レイン
1606–1669
レンブラント・ファン・レイン
1606–1669
グイド・レーニ
1575–1642
アンソニー・ファン・ダイク
1599–1641
アンニーバレ・カラッチ
1560–1609
フランシスコ・デ・スルバラン
1598–1664
ピエトロ・ダ・コルトーナ
1596–1669
ピエトロ・ダ・コルトーナ
1596–1669
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
1617–1682
ヤン・ブリューゲル(父)
1568–1625
ルカ・ジョルダーノ
1634–1705
グエルチーノ
1591–1666
ジャック・カロ
1592–1635
ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
1598–1680
グエルチーノ
1591–1666
ジャック・カロ
1592–1635
アルテミジア・ジェンティレスキ
1593–1656
サルヴァトール・ローザ
1615–1673
ニコラ・ド・ラルジリエール
1656–1746
ホセ・デ・リベーラ
1591–1652
アルテミジア・ジェンティレスキ
1593–1656
サルヴァトール・ローザ
1615–1673
アゴスティーノ・カラッチ
1557–1602
オラツィオ・ジェンティレスキ
1563–1639
ルドヴィコ・カラッチ
1555–1619
ルドヴィコ・カラッチ
1555–1619
オラツィオ・ジェンティレスキ
1563–1639
ダーフィット・テニールス(子)
1610–1690
フランチェスコ・ボッロミーニ
1599–1667
ジョヴァンニ・ランフランコ
1582–1647
ジョヴァンニ・ランフランコ
1582–1647
フアン・デ・バルデス・レアル
1622–1690
フランシスコ・リバルタ
1565–1628
ベルナルド・ストロッツィ
1581–1644
マッティア・プレーティ
1613–1699
ヤーコプ・ヨルダーンス
1593–1678
マッティア・プレーティ
1613–1699
アブラハム・ボス
1604–1676
アレッサンドロ・マニャスコ
1667–1749
アロンソ・カーノ
1601–1667
ウェンツェスラウス・ホラー
1607–1677
カルロ・サラチェーニ
1579–1620
カルロ・マラッタ
1625–1713
グイド・カニャッチ
1601–1663
クラウディオ・コエーリョ
1642–1693
ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ
1609–1664
セバスティアン・デ・エレーラ・バルヌエボ
1619–1671
バルタザール・ノイマン
1687–1753
バルダッサーレ・フランケスキーニ
1611–1689
ピエール・シュブレラ
1699–1749
フアン・バウティスタ・マイーノ
1569–1649
フランソワ・ジラルドン
1628–1715
クラウディオ・コエーリョ
1642–1693
セバスティアン・デ・エレーラ・バルヌエボ
1619–1671
フランソワ・ジラルドン
1628–1715
バルタザール・ノイマン
1687–1753
フアン・バウティスタ・マイーノ
1569–1649
ピエール・シュブレラ
1699–1749
アロンソ・カーノ
1601–1667
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この解説は ArtNote 編集部が執筆しています。 誤りを報告する