マティスとピカソの違い:色と形、互いへの刺激

肖像画像の出典

1910〜1911年の作品を起点に、マティスとピカソの色・形・空間を比較。後年の例も交え、互いから学んだ関係を紹介します。

ArtNote編集部 · 作家・流派を見比べる

マティスとピカソの違いは、色と形のどちらを使ったかより、それらで画面をどう組み立てたかに表れます。1906年に出会った二人は、長く互いの作品から学びました。まず1910〜1911年の近い時期の作品を見比べ、後年の変化も確かめましょう。 [1] [2] [3]

1910〜1911年:色の働き

アンリ・マティス

《赤いアトリエ》(The Red Studio)(1911年秋、MoMA)では、赤い面がアトリエの空間をまとめています。室内に置かれた作品には色や細部が残り、家具との描き分けが生まれています。赤が何をつなぐかを見るのが一つの入口です。 [2]

パブロ・ピカソ

《マンドリンを持つ少女(ファニー・テリエ)》(Girl with a Mandolin (Fanny Tellier))(1910年晩春、MoMA)では、灰色、クリーム色、黄土色の幾何学的な面が身体を形づくります。色数を抑えた構成に、形の組み替えを読み取れます。 [3]

空間と輪郭のつくり方

アンリ・マティス

《赤いアトリエ》の建築や家具は、赤を塗り残した隙間によって示されます。色の面を追うと同時に、線のように残った部分を探してみましょう。マティスにとって色は、物の形や空間の組み立てとも結びついています。 [2]

パブロ・ピカソ

《マンドリンを持つ少女》(Girl with a Mandolin)では、モデルの特徴が平たい幾何学形へ変換されています。顔や身体を一続きの輪郭として読むより、面のつながりを探してみましょう。美術館はこの作品を分析的キュビスムの初期例と位置づけています。 [3]

後年の変化:色と形の新たな組み合わせ

アンリ・マティス

《ピアノのレッスン》(The Piano Lesson)(1916年晩夏、MoMA)は、ピアノを弾く息子を色面と幾何学形で構成した作品です。MoMAの解説はキュビスムへの関心を指摘しています。1911年の赤い室内画だけを、マティスの唯一の描き方と考えることはできません。 [4] [5]

パブロ・ピカソ

《三人の音楽家》(Three Musicians)(1921年夏、MoMA)では、陰影のない色面がかみ合い、切り貼りを思わせる画面になります。実際の技法は油彩です。1910年の抑えた色調からこの作品へ目を移すと、ピカソでも色と形が一体となって働くことが分かります。 [6] [3]

共通点と見比べ方

二人に共通するのは、対象を既存の描き方に従って再現するだけでなく、画面の中で関係をつくり直すことです。2003年のMoMA「Matisse Picasso」展の記録は、その長年の対話を扱っています。ここで並べた各作品を相手への直接の返答と断定せず、共通する課題と異なる解決を見比べてみましょう。 [1] [2] [3]

作家をもっと知る

出典

  1. Matisse Picasso — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
  2. Henri Matisse. The Red Studio. Issy-les-Moulineaux, fall 1911 — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
  3. Pablo Picasso. Girl with a Mandolin (Fanny Tellier). Paris, late spring 1910 — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
  4. Henri Matisse. The Piano Lesson. Issy-les-Moulineaux, late summer 1916 — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
  5. Henri Matisse. The Piano Lesson. Issy-les-Moulineaux, late summer 1916 — audio transcript — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
  6. Pablo Picasso. Three Musicians. Fontainebleau, summer 1921 — The Museum of Modern Art (MoMA)(確認日:2026-09-10)
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